歯周検査のないメインテナンスに意味はあるのか
予防歯科を売りにしたセミナーやコンサルタントが流行っているらしい。
歯科衛生士を雇用してユニットを増やせ
Drは不労所得で医院は安泰だと。
保険診療にSPT2(サポーティブ・ペリオドンタル・セラピー)が新設された。
SPT(歯周病安定期治療)というのが少し前から保険診療に導入されていた。
今回処置内容は変わらないが設備投資して訪問診療すればSPTよりも保険点数を上げるという
ニンジンをぶら下げるような保険改正があったからだろう。
相変わらず問題視されるのは施設基準だけ。
あとは包括してるからやってもやらなくても評価は同じ。
だったら請求しないと損をする。
だから施設基準を満たすためにモノを買い揃えましょうという。
必要があれば検査をすればいいって何だ?
検査しないと解らないから検査するんじゃないのか?
適正な治療にみんな興味がないのだろうか。
やっぱり変だ。
でも誰も、何も言わない。
もういいか。(笑)
しかし、日本人成人の80%が罹患している歯周病は慢性疾患で気づきにくいため、
そして歯周治療後にアタッチメントロス、再度付着の喪失が起こっていないかの確認の為、
そして早期に積極的再治療に介入する為にもメインテナンスするのだ。
歯周検査でのプロービングは25グラムで行う。
自分はずっと20グラムと習った記憶がうっすらあったことと、自分にプロービングしてもらった際痛いのが嫌で
20グラム以下のプロービング圧でポケット測定をしている時期があった。
しかしそれでは検査の意味が薄れてしまう。
今考えれば恥ずかしい話だが、やれと言われたことをとりあえずやっていた。
『何のために』が抜け落ちていた証拠だ。
Bleeding on probing
プロービング(BOP)は、歯肉の炎症を診断するために広く使用されている基準だ。
健康な歯肉でもプロービング圧が増加すればBOPは上昇する実験がある。
25グラムまでは歯肉が健康であれば出血しない。
25グラムのプロービング圧にポケット底部の組織が脆弱で耐えれない場合出血する。
25グラム以上の力だと組織を破壊して出血するのでこの圧が重要になる。
(Lang 1991)
しかし術者が変わると基準や癖、感覚が違う為、同じ人に検査してもらわないと数値の信頼性は下がる。
だからこそ、担当衛生士制の歯科医院でMy Hygienistを持つべきである。
BOP検査では,Langらに代表される付着の喪失の発生割合を述べた報告が代表的である。
年4回の検査において,全てBOP(+)示した部位の30%の部位で2 mm以上の付着の喪失を示している。
逆に,年4回全てBOP(-)の場合は,約2%の部位において付着の喪失が生じている。
これは,歯周治療における極めて重要な付着の喪失の有無を述べたものであり,
BOP検査後の歯科的介入の必要性に対する有益な情報として位置付けられている。
5mm以上のプロービング深さを有するポケットが、BOPの発生率が有意に高く
16%以上のBOP部位を有する患者も、アタッチメントロスをおこす可能性が高い。
(Lang NP, Joss A, Orsanic T, Gusberti FA, Siegrist BE. 1986)
歯周治療後に2年半の維持プログラム、つまりSPTを受けた患者で歯周病の進行は2ミリ以上のアタッチメントロスとされた。
BOPの信頼性は頻繁な出血について29%の感度しか計算されなかったが、特異性は88%であった。
疾患進行の陽性の予測値がわずか6%であり、陰性の予測値が98%であったという事実は、
BOPの継続的な欠如が歯周健康の維持のための信頼性のある予測因子となる。
(Lang NP1, Adler R, Joss A, Nyman S. 1990)
要は、メインテナンスは25グラムでポケット検査をして,いつも出血しないことが確認できれば『いい感じ』ってことだ。
BOPはいつも出血する場所を気にしていたが逆も真なりってことか。