再製の無い修復治療のために④・・・咬合採得
見た目や機能面だけでなく
根管治療の成功率を高めるためにも
2次カリエス(2次う蝕)を防ぐためにも
歯周炎、歯周病を防ぐためにも
精度の高い補綴・修復治療は重要だ
間接法で修復物を作成するにあたって
歯牙の印象採得と咬合面の印象採得を行い
口腔内の状態を”咬合器”という口腔外の装置上で再現する。
上顎・下顎バラバラの模型を安定させて咬合器に付着させるには
模型と模型の連結装置が必要になる。
その操作のことを咬合採得という。
手で持ってガシャガシャしても全く意味がない。
咬合器に付着するまで石膏模型は単なる石っころだ。
咬合器に付着してやっと患者さん=模型になる。
バイト材は永久ひずみも弾性ひずみも小さく硬い材料の方がいい。
よって咬合採得は咬合面のシリコーン印象を行う。
永久ひずみが小さい精密な印象体は咬合器装着時、
シリコーン印象材で印象されて作成された再現性の高い模型に適合し
弾性ひずみが小さいことで硬い印象体は模型設置の安定性に貢献する。
模型の浮き上がりのない咬合器への装着が精度の高い修復物につながる。
シリコーンバイトは材料コストだけで約200〜1000円かかる
保険診療での咬合採得は180円と決められているので
当然精度の高い咬合採得は不可能ということだ。
通常(保険診療)ではパラフィンワックスを用いて咬合採得を行っているだろう。
咬合採得をパラフィンワックスで行った場合、
咬合採得材のコストは安価で済むが常温下で容易に変形する。
歯科医院から技工所に搬送され、模型を咬合器付着するまでに、
もしくは模型を咬合器付着するときにも変形しているだろう。
咬合採得時にはマテリアルに抵抗性がないことも重要である。
バイト材をグッと噛んで記録してはいけない
軽く閉じてもらうようにして顎位を記録する。
下顎の変位を避けることと
歯牙の移動を避けるためだ。
歯牙は歯根膜の厚み分は移動する。
パラフィンワックスでは咬合面を印記するのにある程度力が必要になる。
歯牙印象と咬合面印象でズレが発生しているかもしれない。
つまりパラフィンワックスでは
咬合位記録の再現性は非常に低く、正確性が低い。