離職率80%の国家資格
歯科技工士という職業を知っているだろうか。
人工歯や入れ歯を作ったりするスペシャリストだ。
2015年の歯科技工士実態調査では平均年齢は50.1歳
50歳以上が約46.5%というとんでもなく高齢化が進んでいる業界だ。
平成29年の歯科技工士国家試験の合格者はなんと全国で902人しかいない
資格を取得するには学校に通い2〜3年もかかるのに
卒後5年で75%〜80%が離職する。
そんな国家資格が他にあるのだろうか?
離職の大きな理由は低賃金と長時間労働の2つ。
歯科医師がそれでなくても低い保険診療の技工料金をダンピングするため、
低賃金で人工物を大量に作成することを余儀なくされる。
手を抜かずにクオリティーにこだわれば生活してゆけない。
職人になりたい若者が自分のプライドを捨てて、
情熱の炎を消して、やりがいのない毎日を過ごすほど苦しいことはないだろう。
夢と希望を持った若者は、現実の厳しさに耐えきれずこの業界を後にする。
情けない話だが日本の歯科業界の現実だ。
このままでは日本人の口の健康は維持できなくなるかもしれない。
『自分達だけ良ければいい世代』はノホホンとしすぎていないか?
歯科技工士は技術職であり芸術家でもある。
センスも必要だがある程度あればなんとかなる。
センスは磨けるものだから。
しかし成長にはある程度の時間が必要だろう。
歯科技工の世界にもデジタルが進出してきている。
CAD/CAMで人件費削減を考えている経営者も多い。
歯科医師のエラーをPCはアジャストしてくれない。
簡単に考えている歯科医師は自分の足りなさと歯科技工士のありがたさを思い知るだろう。
年寄りはもうコンピューター支援の補綴物を作る勉強もしないし、設備投資もできない。
最近やっと国会などで取り上げられるようになったがあとの祭りだろう。
補綴の保険外しはとっととやるべきだった。
医科でのエピテーゼは全て自費だ。
メガネもコンタクトもそうだろう。
なぜ歯科だけが保険に取り込まれているのか??
もっと比べ物にならないほどに作成に時間のかかるテーラーメイドの人工歯を
超低賃金の保険で作成していることに疑問を持たないのか??
歯科医療従事者も国民もだ。
日本歯科技工士会も歯科医師会と同じか。
保険診療を続けていく気があるならば
ボイコットぐらいしなければ、文句ばかり言っていても全く変わらないだろう。
しかし若い歯科技工士はチャンスだ。
同世代の歯科技工士が全国で180人しかいない。
歯科医師に選ばれるのではなく、歯科医師を選ぶ時代が来る。
後10年もしたら団塊の世代が一気にいなくなる。
下からの突き上げもない。
技工物を全て保険から外したとしてもそのクオリティーの仕事を急にできるようにはならない。
しっかりと技術と知識を上げて準備しておくべきだ。
適正な価格を自分で決める準備もしておくといい。
チャージが上がるということは患者にとって投資である。
しっかりと投資をするのであれば必ずクオリティーを求められる。
実力次第の時代はすぐそこまできている。
そしてマイクロデンティストと一緒に真の歯科医療を国民に提供できるようになるだろう。
どこまでいっても患者が人間である限りアナログは決して無くならない。