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歯周基本治療の目的

Lindheも言っていたが成人の80%が歯周病でその内Moderate80%、Severe10%
Moderateな症例はGPとDHでも治癒する

Severeな症例はトレーニングを積んだ専門医がやるべき

補綴が必要になることがほとんどだし逆に下手に触らない方がいいということだった。

 

歯周病の患者でもいきなり歯周病専門医のドアをノックはしない。
我々のような一般開業医(GP)の医院を受診し歯周病であることを知る事になる。

ではGPはどこまで歯周病治療を行うべきだろうか

 

米国歯周病学会・AAP(American Academy of Periodontology)は歯周病患者の管理のためのガイドラインで

重度歯周炎、分岐部病変、垂直性骨欠損、侵襲性歯周炎、歯周膿瘍、シビアな歯肉退縮、インプラント周囲炎

歯周病専門医によって治療されるべきであると明記している。

 

適切な治療が受けれていないがために、治癒しなかったり重症化する患者が多くいる

我々日本のGPは80%のModerate患者をSevereにしないよう適切な治療をするべきではないだろうか。

ではPerioのModerate患者とはどのような患者なのか。

 

Moderateの患者を分岐部病変を持たない初期から中度の歯周病患者だとしてみよう。

すると一般歯科医師が積極的に歯周病治療を行なえるアタッチメントロス(付着の喪失)は6ミリまでということになる。

 

 2015のシステマティックレビューでは

PD1~3mmでは外科治療の方が非外科治療に比べてよりアタッチメントロスが起きる
PD4~6mmではMWF(PD reduction)又はSRP(Attachment gain)
PD>7mmでは骨外科を伴う外科治療が有益であることが示されている。

 

 

Stambaugh は7本の歯に対して超音波・ハンドスケーラーにてSRPを行い、

術後に抜歯して病理組織学的にプラーク・歯石の除去効率を調べている。
SRP後プラーク・歯石がない平均PDは3.73mm
SRP器具が届いた形跡があるもっとも深い平均PDは6.21mmということだ。

 

要は

6mm以上のポケットは

非外科ではしっかりとした歯周治療はできない

という事だ。

 

 

1~3mmのポケットデプス(PD)ではブラッシングやフロス指導、スケーリング
4〜6mmのPDでは、スケーリング及びルートプレーニングが治療として第一選択になる。

もしくは外科処置を考慮した方がいい場合も多いであろう。
7mm以上のPDでは歯周病専門医に紹介する。

歯科医師は自分でやる、やらないに関わらず最初から外科治療を選択肢に入れておく必要がある。

 

 

 

治療の流れ自体は保険診療のシステムとほぼ同じだ。

ならばこれは日本全国どの歯科医院でもやっているということだ。
しかしながらきちんと行なっているかどうかは定かではない。

 

それは術者によって差があるのはもちろんのこと
歯周治療の難易度を一般歯科医師は知らない事が多いからだ。

初期でも中度でも重度でも歯周病の治療はとりあえずの歯石取りだけで終わってはいないだろうか?

 

歯周病治療が得意な歯科医師、

歯周病専門医と連携している歯科医院に当たれば適切な治療を受ける事ができるかもしれない。
しかし患者がそれを知る事は非常に難しい問題でもある。

 

 

日本国の歯科治療は保険診療であることが多いためエンドやペリオといった

歯を残す治療の評価は低く、

金属の入れ歯やインプラント治療の方が評価が高い。

そのせいでどのような事が起こりやすいか、目を逸らさずに考えるべきだろう。

 

 

定期的に歯科医院に通院しているのにも関わらず
炎症のコントロールができていない患者が多い

 

それは根管治療と同じく、確実で丁寧な歯周病治療にも時間がかかるからに他ならない。
そして歯周治療の成功は医療者だけでは達成できず
患者本人の治療への積極的な参加が必要不可欠だという難易度の高い治療だからでもある。

 

 

一般GPが全てを補うことは歯科治療のクオリティーを下げる危険性が高い。

日本の歯科では専門医制が確立していないため一人でなんでもできるスーパーGPがもてはやされ、患者も利便性からそれを望むことが多い。

しかしそんなスーパーGPは、ほんの一握りしかいない。専門医より少ないだろう。

 

 

真の患者利益のために、一定の線引きは必要ではないのか。

 

確実な審査診断と

責任を持った歯周基本治療がGPと歯科衛生士に課せられた歯周病治療だろう。