CAD/CAM冠はいいこと尽くしなのか?
CAD/CAM冠が保険診療にも導入されたが
・メーカーは機械が売れる。
・患者は白い人工歯が安く手に入る。
・金属アレルギーのリスクが下がる。
・歯科医院は保険点数が高い。
ではいい事尽くしなのか??
あべ歯科クリニックではセレックトリートメントは2012年より取り組んできた。
それまでに歯面処理や接着操作をきちんとしていた為
すでにCAD/CAM修復は時間の必要な治療であることがわかっていた。
保険診療で提示された費用では到底適切な治療を提供することはできないと判断し
施設基準登録を見送っている。
修復物の装着は合着と違い接着操作は時間がかかる処置であることを
一般GPに知らしめずに保険導入するのはいかがなものかと思う。
知らないのも問題だが。。
臨床経験のない多くの一般歯科医師は保険導入されただけで
それまでやったことがなくても、よく考えもせず安易に取り組む。
光照射で仮重合させるから早く終わるだなんて突拍子もないことを言う輩もいるぐらいだ。。
ハイブリッドレジンのCAD/CAM冠は装着に接着を前提とした修復法である。
破折や脱離しないように、接着力が高いセメントをとなると接着性レジンセメントになるだろう
メーカーは当然接着性レジンセメントを推奨する。
しかし脱離する原因はセメントだけではない。
窩洞の深さ
支台歯の高さ
テーパー
適合
防湿
力
それらのことはクリアされているか?
そんな従来からある
原理原則や基本を大切にせずに新しい材料や手法に右往左往する。
それが今の日本の歯科治療になっていないか?
接着性レジンセメントは『接着力が高い』、
ということはセメント除去が大変だということだ。
セメントを綺麗に除去するだけで30分程度かかることもある。
ましてやレジセメントは透明感が高く見えにくい。
セメントの取り残しは人工の歯石になる。
脱離や歯肉炎を繰り返し
国民の歯科医療への信頼が低下しないことを祈る。
私たちの接着操作では
ラバーダム防湿を行い
歯面清掃
アルミナでのブラッシング及びサンドブラスト処理
歯面処理
エナメル質にはセレクティブエッチング
象牙質にはEDTA
レジンにはシラン処理
修復物の表面処理を行った上で接着操作に入る。
レジンではコジェットでサンドブラスト
技工室でフッ酸処理後にシラン処理を行う。
セメントでの接着後はマイクロスコープを用いた強拡大化で
レジセメントの除去を慎重に行う。
上記の処置をみんないったい何分でできるというのだろうか。
私が伝えたいことは
できるかできないか、ではない
やるかやらないか、ということだ。
保険は合着までで止めておくべきだろう。