むし歯は何処まで削ればいいのか③
むし歯は何処まで削ればいいのか③
むし歯を検出する際、最も有用なレントゲン写真撮影法は咬翼法である。
咬翼法検査の目的は歯と歯の間、隣接面のむし歯に関してや
象牙質内の咬合面う蝕でも病変の深さを予測する助けになる。
しかしレントゲン写真は角度によって影が見えたり見えなかったりする。
中心線が歯と歯の隣接面に直行するように位置付ける必要があり
非常にシビアな診断法なのでそれだけに依存するのは危険でもある。
世の中には完璧な、つまり100%の検査は存在しない。
なので医師は様々な検査を行い
頭の中で掛け合わせて状態を推測し診断する。
だからむし歯治療も歯科医師個々によって診断も異なり、
修復治療介入のタイミングも異なってくる。
ほとんどの現代人では、
う蝕有病率、う蝕発生率、およびう蝕病変の重症度は持続的に低下している。
したがって、
健康を損なうようなリスクを引き起こすのは、
う蝕病変を見過ごすことではなく、
むしろ積極的すぎる修復的介入である。
修復的介入は歯牙喪失へのエレベーターに乗り込んだことを意味する
(しかも一方通行)。
初期のむし歯は削ることが治療ではなく
進行を停止させることが治療だという概念が
医療者・患者ともになければ成り立たない。
理想的なむし歯の診断法は
病変におけるう窩の有無を識別すると同時に
う窩のない病変においては活動性の有無を見分けること
ができることとされる。
それには今のところ視診と触診が唯一の方法であり、
視診の精度をあげる拡大された明視野の最高峰は
手術用顕微鏡・マイクロスコープを用いた診断に他ならない。