折れたリーマーを取って欲しい ②
『折れたリーマーを取って欲しい』と来院された患者さんである。
もともと根管治療を途中で任意中断し、痛みが再発したので他院を受診して根管治療を受けた。
前医がリーマー破折を起こし除去にトライしたが取れないので転院してきた。
根管治療を日々行なっている歯科医師は
リーマーが折れる可能性など治療のリスクを事前に伝える歯科医師
リーマーが折れる可能性など治療のリスクを伝えない歯科医師
リーマーが折れたことをきちんと伝える歯科医師と
折れたことに気づかない歯科医師
折れたことを知っていても伝えない歯科医師がいる。
あなたはどのタイプの歯科医師に治療をしてもらっていますか。
医療は精一杯やっても治らないことの方が多い。
根管治療にも限界がある。
折れたリーマーも取れる事もあれば取れない事もある。
しかし、無菌的な処置は誰にでも出来る事だ。
歯学部の学生でも専門医でも変わらない。
器用な歯科医師
不器用な歯科医師がいる。
挑戦してダメなことはあるだろう。
しかし、
出来ることさえしない歯科医師は
「一生懸命やっている」と言うかもしれないが
私にとっては歯科治療をしているようには見えない。
日本の一般歯科開業医は5%
根管治療の学会員でさえ25%しか無菌的処置をしていない。
事前のPA/CTデータでは既根管治療歯で遠心には隔壁が作成され仮封材を認める。
近心舌側根に破折リーマーを認め近心頬側根には穿孔らしき像を認める。
患者には近心根は湾曲が強く破折リーマーだけでなくレッジ、パーフォレーションが疑われる為、
根管治療は40%以下の成功率(Friedman,Mor 2004)であることを伝えた。
根管内からのリーマー除去は根管内を削合する量が増えるため
リーマー上部まで根管治療を行い歯根端切除手術を行った方が歯根を温存できる可能性が高く、
術後歯根破折のリスクの旨を伝えたが、とにかく歯冠側からのリーマー除去を強く希望され、
根管治療も途中であることから一度再根管治療を行うこととした。
打診痛・圧痛・BT test全て陽性で
レントゲンPA/CTで近心根・遠心根根尖部共に透過像を認める。
ポケットは正常であり、
診断は
Pulpal:Previously initiated therapy
Periapical:Symptomatic apical periodontitis
治療計画は再根管治療2日もしくは3日(各120分)
それ以上は外科的治療で対処することとした。
②診査診断を行いリスク・予後を伝えましょう