折れたリーマーを取って欲しい ④
1週間後。
2回目の根管治療。
パーフォレーションリペア(穿孔封鎖)を行ったにも関わらず
近心歯頸部にサイナストラクトができてきた。
リペアが達成できていないのか、、、
初診時に無かったポケットも12ミリあり
歯根破折を起こしてしまっていないか
歯頸部から歯肉ポケット内をマイクロスコープで確認するも破折線は認めない。
アクセサリーポイントを瘻孔部に入れ確認のレントゲン撮影を行うと
ポイントは近心根根尖に向かっていた。
根尖性歯周炎が進行中であると診断し、
今回治療予定の部位であることから
継続して根管治療を行い予後観察を行うこととした。
麻酔とラバーダム防湿を行い仮封材を外していく。
パーフォレーションリペアを行ったバイオセラミックセメントはしっかりと硬化していることを確認した。
これでやっと根尖側の治療が進めやすくなる。
近心根管はCT像で2-1を示しており、(入り口は2つで途中合流して出口1つ)
近心舌側根管のみを拡げるよりイスムスを削り取って
近心頰側と合わせて1根管にした方がリーマーの除去が容易になると考え、
超音波にて近心根イスムスを削る作戦を立てていた。
近心舌側根は破折リーマーの確認と作業ができる様に、
ゲイツドリルを最大豊隆部でカットし破折リーマー直上まで拡大している。
ここでは新たなパーフォレーションを生まないよう細心の注意を要する。
ここで三角形の金属を確認することができる。
これはマイクロスコープを用いなければ不可能であり
マイクロスコープを用いたとしても難易度は高い。
人体に直線は存在しない。
人工物との判別の基準の一つは
直線かどうかを見ることである。
頰側根の拡大を進めると思いがけずリーマーが動き出し、
超音波と水流のキャビテーション効果で破折リーマーは外れてきた。
破折リーマーは約3mmであった。
1根管にする治療計画は歯の強度を優先して中止した。
後は通常どおり作業長を決定し機械的拡大、化学的洗浄を行う。
近心根にも病変を認め、サイナストラクトも伴っているため、
水酸化カルシウムの貼薬と仮封をし
根管内の殺菌を1週間行い、根管充填を行うこととした。
④抜髄と感染根管はコンセプトを切り替えて治療しましょう