折れたリーマーを取って欲しい ⑤
1週間後。
3回目の根管治療。
幸いサイナストラクトは消失しており、ポケットも約3ミリに回復していた。
根管充填を行い築造までを予定している。
麻酔とラバーダム防湿を行い仮封材を外していく。
貼薬している水酸化カルシウムは除去が難しい。
取り残すと術後吸収して死腔になり予後を悪くする。
材料のメリットデメリットを知っておくことが治療の質に差を作る。
洗浄を十分行いBCシーラーとガッタパーチャでCWCT法で緻密に根管充填を行う。
根管充填後は精密な修復治療が根管治療の予後を左右すると言われている。
再感染、漏洩を防止する為に間接法ではなく根管充填後、直ちに直接法で築造を行った。
接着修復は防湿していることと接着面の汚染がないこと
メーカー指定時間の尊守が重要である。
マイクロスコープで根管内が綺麗になっていることを確認し
C-factorを小さくする為、接着面を少なくする様にレジンを積層充填していく。
以上、根管治療は3回で終了した。
当初の治療計画どおり最短での再根管治療を行うことができたと考えている。
後は精度の高い補綴・修復治療をしてもらうことが重要になる。
勿論、これだけの問題があった歯である。
外科的歯内療法か抜歯が必要になる可能性は十分にある事を伝えている。
では今回、歯科医師とアシスタントが全力で、一人だけの患者に、
6時間近くかかった処置の治療費は一体幾らが適切なのだろう。
それも皆、真剣に考えなければこのような患者さんは減らない。
昨今の『日本の歯科治療』には情けないことに「保険内の根管治療」と「自由診療の根管治療」があるらしい。
しかし私の歯科治療には『全力の根管治療』しかない。
今回も伝えたいことは
破折リーマーなんて大した問題では無い。
もっと大きな問題が日本の医療に覆い被っているということです。
根管治療は最初に無菌的処置を行うことこそが重要であり、
感染根管になれば治療成功率は下がる。
病変が大きくなるほど成功率は悪くなり根尖が破壊されていれば尚更成功率は悪い。
拡大する程に根管内の菌は減少するが歯根破折のリスクは高まる。
根管充填が根管治療の終わりではない。
補綴とメインテナンスという長い長い戦いが始まる。
⑤緻密に封鎖を行い精度の高い修復治療をしましょう