メインテナンスの効果
先日今年最期のOPE(Oita Periodontics Education)の勉強会だった。
今回も診療後に歯科医師・歯科衛生士が
大分県民の口腔健康とQOLの向上を目指すために40人以上集まった。
AUNと連携している米国歯周病専門医Dr.岸本のレクチャーは
『メインテナンス』だった。
一般人だけでなく歯科医療従事者でさえ
歯周病治療だけでなく歯科治療には始まりと終りがある
と考えている人がほとんどだと思う。
しかし多くが生活習慣病である歯科疾患は再発も多いし
進行してしまえば元に戻すことはできない。
自己認識できるまで進行した歯科疾患は手遅れなことが多く
一生涯にわたって管理するに越したことはないと言える。
歯科でも予防やメインテナンスの重要性が伝えられているが
その効果と、いったいどの程度の間隔で歯科医院に通うことが適切なのだろうか。
Beckerらは歯周病患者が
検診のみで歯周病治療を受けなければ0.36歯/年(10年で3.6本)
歯周病治療を受けてもメインテナンスなしでは0.22歯/年(10年で2.2本)
歯周病治療を受けてメインテナンスを受けた場合0.11歯/年(10年で1.1本)
の喪失があるとしている。
メインテナンスはあなたの歯を守るのに2倍、3倍の違いがあるのです。
ここに歯科医院に治療とメインテナンスで通院する価値が示されています。
歯周病やむし歯には人それぞれリスクがあり、
その再発や歯の喪失は
ハイリスクの人とローリスクの人でそれぞれ違ってくる。
だから定期的に同じ歯科衛生士さんに
全身状態の変化や生活習慣の変化を伝えてもらい
口腔内の変化をチェックしてもらう。
リスク変化を評価することで
メインテナンスの内容や期間は変えなければならないのです。
そしてプラークコントロール、セルフケアの確認をして
セルフケアができるようになることが重要なのです。
Robert G.Schallhornは
1、挨拶、全身状態と既往歴のチェック
2、デンタルスクリーニング
3、歯周組織検査
4、プラークスコア
5、口腔清掃状態確認
6、歯面研磨、フロッシング
7、SRP
8、カリエスや不良補綴物への対応
9、ローカルデリバリードラッグ
10、フッ化物塗布
11、次回のアポイントメント予約
以上ををメインテナンスメニューとしており
53分でできるとしている。
30分の診療時間でメインテナンスできる人は限られているのです。。。
よっぽど健康でセルフケアの上手い人か、
すでにほとんどの歯がなくなっている人でしょう。
歯石取りだけに定期的に歯科医院に通院してもあまり意味はない。
積極的な歯周病治療をせずに妥協的メインテナンスを行う場合も
通院期間を短くする必要があるでしょう。