歯の神経はどうやって殺すのか??
歯の神経はどうやって殺すのか?
根管治療中の患者さんから質問を受けた。
根管治療(抜髄)では歯の神経を殺すのではなく、感染したり壊死してしまった部分を切り取る処置を行っているのです。
歯の神経を殺し消毒の効果を期待し『ペリオドン』や『FC』という薬が使われる事があります。
日本では認可されていますがアメリカでは20年以上も前から使用を禁止されています。
何故かというと『ペリオドン』はパラホルムアルデヒドを主成分とし、シックハウス症候群の原因と言われるホルムアルデヒドがつながった物なのです。これを使うと歯根の中の器具の届きにくい所まで神経組織のタンパク質を強力に固定するので歯髄を取った後などに痛みが出にくいと言われています。しかしながら薬功が歯根の中だけに止まらずに根の外まで浸透してしまい根尖歯周組織まで壊死させてしまうケースもあります。
『FC』はホルマリンとクレゾールを主成分とし、その中のホルムアルデヒドによる毒性、発がん性、変異原性、感作性などへの懸念、組織刺激性が強く、歯根膜炎を起こす場合があるので、注意して使用することとされています。
ホルムアルデヒドによる発がんでおもに疑われているのは、鼻咽腔、鼻腔、副鼻腔のがん。これらはおもにホルムアルデヒドの吸入によるリスクであり、経口ではリスクは低いとされています。
したがって、治療を受ける患者よりも、治療時にホルムアルデヒドを繰り返し高濃度で吸入する機会が多く、
ホルムアルデヒドで汚染された診療室に長時間いる歯科医療従事者の方がリスクが高いといえます。
歯髄が壊死してしまうと細菌侵入に対する防御能力を失い、象牙細管はその厚みに関係なく細菌が象牙細管を通じて歯髄へと侵入しコロニー形成ができる通路となりえます。FCはできれば使用したくない、また水酸化カルシウムでは殺菌性の点でものたりない。ということであれば、とにかくラバーダムをはじめ無菌的な処置につとめ、根管拡大時に次亜塩素酸ナトリウムなどで根管内を無菌化する努力をするべきでしょう。
『認可されているから大丈夫だろう』
『保険診療では根管貼薬の点数があるし
患者が多くて忙しいから早く痛みだけ取れば患者は喜ぶだろう』
と未だにラバーダムもせずに上記の劇薬を使っている医院も少なくない。
未だに綿栓で歯の中に薬を入れる歯科医院は多い。
当院では患者さんにも従業員のためにも『ペリオドン』『FC』は使用していない。
歯の神経(歯髄)は殺す必要などない。
感染した歯髄は壊死してしまうが感染していない歯髄はそのままで良い。
感染し、炎症が強すぎて改善できない部位の歯髄を取り除けば他の傷の様にかさぶたが出来て治癒する。
歯科医師にとっても『残髄』と言って神経の取り残しは悪いイメージがあるが
感染さえしていなければ根管内で壊死した歯髄組織そのものや、
そこに留まる組織液によって根尖性歯周炎が引き起こされたり進行することはない。(Sundqvist)