歯石を取る器具スケーラーのシャープニング
『弘法筆を選ばず』ということわざがあるが
弘法大師自身は 『良工まずその刀を利くし、能書は必ず好筆を用う』 という言葉を残している。
「腕のある良い職人はまず何よりも先に道具を研ぎ、優れた書家は必ず良い筆を使用する」という意味である。
歯石取りに使うスケーラーは刃物であるため 使うと刃の部分が舐められる。
定期的に、もしくは使うたびに刃を研ぐ必要がある。
一般的なシャープニングセミナーでは
砥石を片手で持って
時計の針の位置をイメージさせて
裸眼でゴシゴシ
肘を適当にストロークさせて
プラスチックのテスターに
シャープニング後のスケーラーが食い込むか
ピンピン音が鳴るかどうかを確認する。
何故そんなセミナーが無くならないのかを考えると答えは簡単。
手用のシャープニングではブレードは不適切な形態になる事が多いから。
不適切なシャープニングはスケーラーの寿命を短くするだけでなく、
切れないスケーラーは歯石を取り残すだけでなく、
作業に『力』が必要になるため
術中に患者の歯周組織を目的以上に傷つけたり、 刃先が折れてしまう危険性もある。
切れるスケーラーは治療効率を上げ治療時間を短縮し、
患者ストレスを軽減する。
sidekickとマイクロスコープを使ったシャープニングでは
丸く太くなったエッジが 細い一本の線になるのがよく分かる。
https://www.youtube.com/watch?v=cMm2TRzVWL4
歯科衛生士や歯科医師にとってスケーラーは
料理人の包丁や
美容師のハサミ
武士の刀
『マイクロスコープを使った研ぎ師』になれば
『経験と勘』のシャープニングを卒業することができる。