不適合なコンポジットレジンの再治療①
患者の主訴は「フロスが引っかかって毛羽立つ」
食べ物やフロスがひっかかる原因はいろいろあるのだが
その部位は過去にむし歯治療を受けた既往があった
マイクロスコープを覗くと確かにレジン充填の跡がある
しかし
これだけ詰め物と歯に段差があれば当然いろんなものが引っ掛かるのでしょう
多くの患者さんが差し歯や詰め物の治療を行った後に
『段差や隙間ができるのはしょうがない』
と思っている、というか諦めている。
この段差に対しては
①形態修正・研磨②除去して再治療③セルフケアのスキルアップ
という対処方があると考えられるが今回はどれが正解なのだろうか。
多くの場合優先順位が高いのは①である
プラークコントロールできない環境を改善することが治療目標になる。
より積極的な介入である①から②に移行する要因は
⑴進行性のカリエスが認められる
⑵歯髄症状がある
⑶形態および色調の審美的問題がある
そして
⑷前医への信頼度
である
残念ながら個人的には
こんなに大きな段差の修復を平気で終了させる歯医者の処置は全て信頼できない
この患者さんはAUNでの精密な基本治療の重要性を感じていただき
この不適合なコンポジットレジンの再治療を希望された。
Cold test+、
打診・咬合痛-、
Pocket:2〜3mm
診断は
Pulpal:Nomal
Periapical:Nomal
不適合修復および2次カリエスとした
以前のむし歯治療が歯髄付近にまで及んでおり
Asymptomatic irreversible pulpitisという
症状が無くても神経が後戻りできない炎症を起こしている可能性も十分にある。
断髄もしくは抜髄してクラウンで補綴するのも決して間違いではない。
今、世界的にはその方が正解と言われるかもしれない。
しかし患者とのコンプライアンスが取れていること、
まだ30代で平均寿命に対してまだまだ年月が残されていること。
きちんと定期的にレントゲン撮影を含めて
メインテナンスすることを条件に歯髄温存療法で行くことを決定した。
治療計画は不適合な充填物を慎重に除去し
歯髄温存処置とコンポジットレジン修復治療を行うこととした