不適合なコンポジットレジンの再治療②
コンポジットレジンの再治療は
以前に余りにルーズな治療をされていたり
軟化象牙質が多量に存在する場合を除いて
レジンと象牙質の色や硬さが似通っているため
最小限でキチンとしようとすると難易度が高い
①健全歯質の過剰切削
②コンポジットレジンの取り残し
③感染歯質の取り残し
に注意しながら行う必要がある
接着が成されていなければレジンは歯質からポロポロと剥がれてくる
う蝕検知液を用いてレジンと歯質の境界を確認したり
エアーで窩洞を乾燥させることでレジンと歯質の違いを確認する
ブラックライトを用いた識別法は照射をやめた時点でわからなくなるため
除去後の確認にはよいかもしれないが除去時には難しい
PA(デンタルレントゲン)ではわからなかったが以前の治療で水酸化カルシウムを歯髄付近に貼薬しているようである
水酸化カルシウムのpHは高く初期には殺菌性を有している。
水酸化カルシウムは、う窩での酸性度を中和する効果や象牙芽細胞や象牙芽細胞用細胞の分化を促進させる効果がある
この象牙芽細胞や象牙芽細胞用細胞が歯髄周囲の硬組織を形成する
水酸化カルシウム製剤は何十年もの間世界中で使われている覆髄剤であるが
水酸化カルシウム製剤は象牙質への接着が弱く、機械的に不安定で覆髄後吸収され続ける
(Barnes&Kidd 1979;Goracci&Mori 1996)
今回の治療計画は歯髄温存するシールドレストレーションは接着が肝になる。
その為今現在私は、水酸化カルシウムを覆髄剤で使うことはしていない。
(エアーで乾燥させるとレジンと歯質の違いがわかる)
(スプーンエキスカで象牙質の硬さの最終確認)
(以前のレジンと周囲の感染象牙質を取り終えた状態。以前の髄室様所見を認める。つまり三象牙質が形成されている)
エナメル質と象牙質の境は徹底的に除去し、全周健全歯質を確認する。
以前のむし歯治療は徹底的な除去を目指していたようで深部も硬い象牙質であった。
むし歯の除去は露髄覚悟の完全な除去はオーバートリートメントと紙一重で
露髄させない部分的な除去はアンダートリートメントと紙一重になりかねない
判断が非常に難しい為、
今は良く相談し、その患者のプライオリティを優先させている
悩んでいる場合には追加の処置ができる為、最小限の介入を勧めることが多いかもしれない
象牙質の硬さをスプーンエキスカで確認し、
ガタガタのエナメル質は薄い部位がレジンの収縮でクラックが入ったり破折するのを防ぐ為
スムースに修正し充填処置に進む
(薄いガタガタなエナメル質をベベル程ではないがスムースにして接着面を増す)