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他院を中断・転院してきた むし歯治療②

2回目の来院では

 

前医の処置内容の直接的な確認

象牙細管の封鎖を目的に暫間修復を予定している

 

仮封材を外すと

なぜか2種類の裏層材を認める

 

なぜだ???

 

経緯を考えると

詰め物をしていた歯に穴が開いてから前医に行っている。

 

前医の更に前医が行ったむし歯治療で

より白い裏層材を使っていて、

前医はそれを残したまま修復しても大丈夫だと判断し

その上に歯の色に近い裏層材を使って充填したのだろうか

 

なぜか?

 

面倒だったのか??

 

見えなかったのか???

 

もしかすると

歯髄保護の為に特別な材料を使ったのかもしれない。。。。

 

 

しかし今は歯髄保護の為にわざわざ水酸化カルシウムを使うことは無いし

直接覆髄でさえコンポジットレジンで問題ないとされている。

 

その下がいったいどうなっているかも心配だが

何よりエナメル質が薄い

 

咬合面1/3以上の切削で咬頭が薄くなった場合、

歯牙の破折を予防するため

薄いエナメル質は積極的に削合して咬頭を被覆するべきとされている

 

特に機能咬頭

この場合は下顎なので頬っぺた側は欠けやすい

奥の歯も近心の機能咬頭が欠けてきている

 

 

保険診療では修復物が3ヶ月〜2年持てば良しとされる

 

確かにそれぐらいは問題が出ず、やり直しの時期になるかもしれない

 

安く・早く・やり直しを繰り返す

 

やり直しの度に歯を削り

 

やがてやり直しができなくなり

 

抜歯してインプラントを勧める

 

それでいいのか??

 

削らない歯医者がいい歯医者ではない

診査診断を行い適切な処置を行うべきだろう

 

ラバーダム防湿を行い、わかりにくいので慎重に除去していく

感染象牙質らしき柔らかい象牙質を認める

う蝕検知液で染めると濃く染まる

 

今回は歯髄付近は徹底的な除去が施されており

エナメル象牙境付近に感染象牙質の取り残しを認めた。

 

反対なら良いがこれはダメなパターン。。。

 

エナメル象牙境の健全象牙質を出すように削合し

むし歯の除去を終了させた

 

ハイドロキシアパタイトで

象牙細管を封鎖して水洗し

 

エナメル質を脱灰させて接着力を高める

 

 

コンポジットレジンの弱点である収縮

これをできるだけ小さくなるように接着面を最小になるようにして

2mm以下の積層を繰り返し暫間修復を終わらせた。

 

造影性のあるレジンの方がわかりやすくて好み

 

 

この後は歯髄の経過観察を行う。

 

補綴・修復治療に進むにあたっては

咬頭を被覆する必要がある為

オンレーかクラウンを選択してもらう

 

歯周組織に問題がないか検査、確認する

問題があれば歯周治療を行ってから進めていく。

 

 

 

 

さて、この患者さんは一体何を求めて転院されてきたのだろうか

そしてなぜキャンセルせずに受診してくれたのだろうか。

 

新しくて綺麗な医院か?

うちはすでに開業後18年でスタッフが綺麗にしてくれているが設備も修理だらけ。

 

なんちゃって専門医の看板か??

日焼けした無口ではないが人見知りな しがないおじさん。

 

マイクロスコープか?ラバーダムか?歯科用CTか?

きっと今は多くの歯科医院にある。

 

 

『あなたを大切にします』という丁寧に一生懸命やっている感。

『キチンとなんとかしよう』という使命感を感じてくれたのかもしれない

 

大切なものは目で見えないので難しい

 

 

多くの歯医者はこんな治療を真面目にやってなんになる、とバカにするかもしれない。

 

なぜなら

保険診療では16点。

つまり10割で160円しか請求できない処置なのだ。。。

 

きっと皆はできるから保険医なのだろう。

やらないから保険医でいられるのか。

 

 

予約は最悪のことを考えて90分おさえていたが

私はこのむし歯治療には準備と処置、説明に60分必要だった

治療費が160円では納得できないし生きていけない

 

 

真摯に歯科治療に向き合ったことのある歯科医師なら

絶対同じことを言うはずだ

 

治療より予防

 

何かあった時は

最初の治療をキチンとすることが大事

だと。