穴が開いた歯は抜くしかないのか?②
1998年にMTAセメントが発売されて生物学的修復が可能になった。
生物学的修復とは硬化したMTA表面がセメント質や骨で覆われることである。
穿孔修復の1950年から2014年までの文献の統計では
非外科的穿孔修復の予後は72.5%であるが
A clinical and roentgenological study of 55 cases of root perforation
I Kvinnsland, RJ Oswald, A Halse… – International …, 1989 – Wiley Online Library
MTAが発売される前
ガッタパーチャなどで修復された28歯
55歯根の穿孔治療結果は56%となっている
A clinical and roentgenological study of 55 cases of root perforation
I Kvinnsland, RJ Oswald, A Halse… – International …, 1989 – Wiley Online Library
MTAで穿孔封鎖された26歯の
12~65ヶ月の長期予後は86%とパーフォレーションリペア の成功率は格段に上昇する。
Treatment outcome of mineral trioxide aggregate: repair of root perforations
J Mente, N Hage, T Pfefferle, MJ Koch, B Geletneky… – Journal of …, 2010 – Elsevier
歯科用手術顕微鏡を使用することにより、治療上のエラーの修正をより高い臨床的信頼度で実行できるようになる。
顕微鏡の使用とそれによる精度は、理論的可能性と臨床的現実の間のギャップを埋める。
つまり、ただ単にMTAセメントを使えばうまくいくということではなく、
文献のような高い成功率を臨床で叩きだすにはマイクロスコープを用いた審査診断と丁寧な処置が大前提と言える。
材料はこれからも進歩し、発展していくでしょう。
ただし、結局人が人である限り変わらない限界があるのです。
しかしその時点で要点を押さえた最善の材料を使うべきです。
GR Hartwell, MC England – Journal of endodontics, 1993 – Elsevier
残念ながら日本の保険診療では
穿孔修復にMTAセメントを使うことは認められていない。